72歳で、内藤国雄九段と並び現役最高齢の加藤一二三九段も長考派。「不器用なので、相手の手番の時も、90%くらいの力でずっと集中している。相手と一緒に考えている気持ちになることも。ただ、ペース配分で失敗した将棋も百局を下らない」と苦笑する。
「美しい旋律は集中力を高める」と、対局前日は自宅でモーツァルトなどを2時間ほど聴く。さらに健啖(けんたん)家らしく「エネルギー補給も重要。おやつにチーズなどを食べて、改めて盤上に集中する」。
そんな集中力が、逆転を生んだ。昨年末、39歳下の千葉幸生六段との順位戦C級1組では、終盤で局面がもつれ、両者1分将棋の熱戦に。午前0時55分、加藤が143手でねじり合いを制した。
「集中が切れなかったのがよかった」と加藤。ちなみにこの夜、コートを対局室に忘れて寒風の中を帰ってしまった。「意識がまだ盤上に残っていたのか……。50年以上の棋士人生で初めてのこと」